10月度のメギドについて(イベント・リアイベ感想)

 十月メギドの感想です。今月の更新量は壮絶に多かった……楽しかったです。ネタバレ配慮は無し。

 

①10月度イベント『ハルマを夢見た少女』(リジェネレイトの物語と、「通りすがり」と関係する難しさについて)

 

1.リジェネレイトイベント2回目。衣装追加される以上は人気キャラであろうマルバスの無料配布は、ソシャゲの常道からは相変わらず外れているけれど(衣装を買わせやすくする、という意味ではアリ)メギドは「こんなメギドが居て、こんな風にチームが組めて、きっとこんな風景が展開されるに違いない」という体感が意外に重要なゲームだと思うので、リジェネレイトという形式で(つまり、ガチャで引いた人間も得するような形式で)配布したのは良い感じ。モーションは相変わらず全新規だが、キャラデザ…………というか顏や身体のモデル自体は流用出来るので、製作コスト自体はまだ……まだ低いんだろう。
 それでもこのペースで新規キャラを追加出来る開発力は凄まじい(理解が出来ない)。

2.イベントシナリオはマルバスの成長を描いたもの。リジェネレイトは必ず「時間の変化」を書かなくてはならなくて、キャラクターの時間経過を、物語として納得いく形式で書くのはそんなに簡単ではない。リジェネレイトの形式はまず大きく「包丁式」「決意式」の2つに分かれるのではないかと思う。

a.包丁式リジェネレイト(肉体式)。代表例がゼパルの包丁にぶっ刺されたフラウロスで、要するに刺されたりして死にかけたから再召喚でリジェネレイトする、という形式を辿るもの。フラウロスはクズだが結構うまいこと生きているクズであり、本人的にはある意味問題がないので(あのクズぶりを問題として「解消」してしまうのでは根本的なキャラクター性が崩れる)心の問題を解決して「決意」のリジェネレイトに至る、という形は描けない。
 つまりある程度落ち着いててしまっているメギドは、概ねここに分類されるんじゃないかと予測される(他に個人的に予想しているのは「新しい道具を手にしてリジェネレイトする」という形式で、というのはシトリーさんとか刺されたりして死にかける情景がいまいち想像できない)。

b.決意式リジェネレイト(精神式)。代表例が今回のマルバスで、本人の中の心的な問題、わだかまりが解決されることでリジェネレイトするというもの。
 過去の因縁の解消、とかもこのあたりに分類されるだろうから、モラクスやガミジンのように過去が重いメギドもこちらになるはず。私は引けていないので分からないがヴィネのキャラエピも同様らしい。つまり「身体状況の動きと時間の動きが一致する」「心的な動きと…」という分かれ方がまずある。

c.ゼパルはリジェネレイトの経緯自体が今一つ描かれていないので何とも言えない。心的な問題があまり書かれてこなかったメギドなので消去法的には前者で、洗脳=身体状況の変化だとざっくばらんに考えてもいいかもしれない。そもそもフラウロスの物語があるのと、本人があっけらかんとしているので、ゼパルのリジェネレイト物語を書くのは別枠でもかなり難しそうではある。

 リジェネレイトを物語る難しさは、
 「キャラクターの根本的な性質はある程度保ちながら」
 「しかも何らかの形で時間経過=変化を描かねばならない」
 という点にある。メギドは声優をかなり豪華に使っているので、その都度大量に新規の台詞を喋らせることは出来ない。つまり、そこが「根本的な性質をある程度保つ」ための置石となっている。マルバスのように心的な陰が(キャラエピ)示唆されているメギドは時間経過=変化としての物語が書きやすいけれども、たとえばフォカロルのようにキャラエピソードで具体的に「成長」が書かれてしまったメギドだと難易度は跳ね上がる。必然的にリジェネレイト包丁とか幻獣とかに殺される形式を取らざるを得ないんじゃないかと思う(たぶん教官が死にかけたら興奮するけど……)。

 リジェネレイトの物語はどこかで確実にパターンが出尽くすわけで、これはシナリオライター側も把握している問題のはず。普通なら包丁で刺されまくったり安易なトラウマを導入してきそうだけど、ウェパルのリジェネレイトはとんでもなく変則的で、リジェネレイト物語七番勝負で行くと六番目ぐらいの奥の手を早くもぶっ放してきた。凄い。
 昔読んだある小説家が「とっておきのネタは後に取っておくのではなくさっさと使う、そうすればもっと良いネタが思い付くはずだから」と書いていたのを思い出す。

3.マルバスのキャラ描写は、私はキャラエピソードを後で読んで「なるほどなあ」と納得がいった。
 スタートアップ時点のキャラエピのライターと、今回のイベントシナリオのライターが同じ可能性は高くないけれど、前者の「醜いアヒルの子」や「夢を見るのは自由」という伏線(としてとりあえずばらまかれた要素)を上手く回収・発展させたシナリオだと思う。逆にキャラエピソードを読んでいなくて、「純粋に、何の不安や憂慮も根拠もなく、完全に狂的にハルマになれると信じている少女」というキャラ像があるのだとしたら、距離感に戸惑うのかもしれない。
 これは「マルバスを引いてキャラエピを読んだ者しか理解出来ないシナリオを書いている」「マルバス未所持者への壁が高すぎる」とは私は取りたくない。
 そもそもマルバスというキャラの描写が「声優の録音した台詞」と「キャラエピ」しかないので、後者に基づく以外の描写は絶対的に難しい。「引いてない」OR「キャラエピを読んでいない」のに「自分の想定していたマルバス像と違って困惑する」という事態は普通は起こり得ない(引いていなかったら違っていて当たり前のはずだから)。
 裏返せば、たとえばインターネットに流布するイメージから適当に作り上げたのではなく、(当たり前といえばそうなんだけれども)原作に既に書かれたテキストから正確に組み上げたキャラクター像だろうと思う。「成長」を書くには弱みとしての課題が必要になりがちだし、こういう書き方以外の正解は私には思い付かない。
 「成長」は単体では難しい。きっかけとなる出来事……もっと具体的には、他人との交流が必要になる場合が大半であって、マルバスとのやり取りは微笑ましくて大変良かったし、関係性を密に編んでいくのはキャラクターの世界を広げていくうえで大事な要素だろう。一つのシナリオで二つの成長の物語を書くのは無理難題だから(というかそれだとなんでヴィネリジェネレイトが配布じゃないんだ、という話になってしまうので)マルバスのみに絞って、ヴィネの心的な変化の物語はキャラエピに回す、という判断で間違いないと思う。

4.ダゴンについて。通りすがりのヤンデレならぬ「通りすがりのクレーマー」で、今回シナリオであらためて感じたのは、既にリジェネレイトの物語として設定されているイベントで新キャラを書く難しさ。DeNA側から「マルバスのリジェネレイト物語に次にリジェネレイトされるヴィネを絡めて、更にダゴンという新キャラを関係させてください」というオーダーが来ているのなら、これは相当に難しい。
 既知のキャラ同士に新しい関係性を作るのと、新しいキャラと新しい関係性を作るのとでは、前者のほうが難易度が低い。
 ライターが前者の扱いに慣れているというのではなくて、逆に今回の物語が「マルバスとヴィネが仲良し」ではなく「マルバスとダゴンが仲良し」=ダゴンがより重要人物であるかのように書こうとすると、その難しさは際立つ。「通りすがり」と関係することは難しい。どうしても、「物語にインパクトを与えるコメディリリーフ」というぐらいの立ち位置になるしかない。つまり、ダゴンにこれ以上の役目を持たせることは構造的に困難ではないかと思う。
 もっとも「食」を絡めてフルフルと関係性を持たせたキャラエピソードは安定していて非常に面白かった。「食」というテーマが共通していればあるいはマルバスやヴィネとも関係性を持たせやすかったかもしれないが、既出のテキストで二人にそのテーマを見出すのは簡単ではない(ヴィネのキャラエピソードに草を食う話はあったが)。このあたりはライターが調理出来ていないというより、構造的な必然と感じる。
 逆に白百合やジズイベは全員平等に新キャラなので比較的どんな風にも調理出来ると言える。ただ新規キャラを三人も作るコストは尋常ならざる重さだろう。

5.最後になってしまったけど、SRパトロンデビルは特性が非常に面白い確率スキル追加オーブで、マルバスRへの装備を想定しているんだろうけれど、たとえばナベリウスやベリアルのスキル追加MEと組み合わせればオート周回にも便利。ドロップ率はわずかにキツくはあったけど、最終的には☆3が3個揃ったので満足。オーブ周回は多少大変だけどやっぱり私は楽しいので、今回のように(以前からもそうだが)ショップ交換で☆3は1個作れる+追加分は任意、というデザインは大変嬉しい。

 

②6章1節について(アスモデウスのためのバラムのためのベリアル、について)

1.シナリオのクオリティが高過ぎる。この質のテキストを月単位で実装するのは絶対的に不可能である(6章2節が11月に実装されないのが確定したのは正直安心したぐらい)。これはイベントについても同様で、本編・イベントシナリオどちらもチーム製作であって欲しいんだけれども、テキストのレベルが統一して高いので、個人ライターへの負荷が相当なものになっているんじゃないか。Pレターにも「実はここ最近、シナリオライターがかなり多忙な状況です」とあるし。
 とにかく、いずれにせよライターの個々の能力が非常に高く、また負荷が大変大きいであろう、ということは強調しておきたい。

2.シャックスのキャラ描写は難しくて、どうしてもトラブルメーカーか、誰にも出来ないジョーカー的な思考をする、という描写を繰り返してしまう、という問題点を見事に解消していたのには唸るしかなかった。素晴らしいとしか言いようがない。読んでほしいので詳細については書かないけれども、シャックス-マルファスという既存の関係性に更にラウムを組み合わせて関係性を密にしていくのも手堅いし、バトルシステム(覚醒ゲージ)とシナリオが高度に絡ませてある点も見事、本当に傑作です。

3.登場するキャラの増減については、思い切った判断だけれども、適切だと思う。アスモデウスが同行しないのは、あんなに頭が回って情報を知り尽くしているメギドが出てきたら話の展開が異常に難しくなるから納得もいったが、ガープが同行しないのはちょっとびっくりだった(とはいえ、だからこそイベストでガープ含めたお馴染みのソロモン一行が登場し続けることに、別の意義が出てきたように思う)。ガチャキャラ追加は、まずはこれぐらいの販促は絶対したほうがいいし、マルコシアスまでのソロモン構文で書ける内容も非常に多いけれど、どこかでキャラクターに新しい関係性の網を作らなければ書くことには限界が発生する。
 私は最初にアモンくんの名前が出てきたときに震えたし、フォカロルが出てきたときには絶叫してた。

4.よく言われる「ウェパルBを育てるためのアスモデウスを育てるためのバラムを育てるためのベリアルのバエルorシトリー……」という大幻獣問題は、裏返せば大幻獣の最適解が無料配布であるメインストーリーのキャラなわけで、正直とんでもないと思う。逆にウェパルBを育てるための「アイムorアモン」「カスピエルorアマイモン」「サラorサタナキアorプルフラス」という取り合わせだったら当然未所持ユーザーとの格差が生じてしまうわけだが、それぐらいの販促はしていいんじゃないかと正直思うぐらい。
 大幻獣を倒し続ける大変さは否定できないので忘れられがちだけれど、これは課金額やガチャの引きに依らず、全ユーザーが大幻獣を倒せるよう慎重に練られたデザインだと思う。もちろんアシュトレトは配布キャラのみでは難しいが、対応するようにフラカンが用意されたのも見事で、PvEではアシュトレトオーブが活躍する場面は然程多くない(し、あれが活躍する次元に辿り着いた人は、アシュトレトは面倒でもさして苦戦はしないだろう)。
 ケラヴノスは、私はモラクス+スキルフォトンに依存しないバーストアタッカー(確かアシュトレトと同じくハルファス)で切り抜けたが、これについてもサバトで引きやすいインプを用意したのではないか、と推測している。インプについてはまた来月書きたいが、最初の印象としてはジニマルがベレト戦という壁に向けて用意されたように見えるのと同じく、ルゥルゥ-ケラヴノスという同様に壁になりがちなポイントのための性能ではないかなあと。

5.ちなみに「メギド72」という軍団が最終的に結成されるのが、「多様性」の極みである「混沌」を司るアスモデウスを仲間にした地点、というのは構造として美しい。

 

③復刻版『上書きされた忠義』について(何故復刻の度に改訂するのか、何故シナリオ読み返し機能は実装出来ないのか)

1.まず目が行くのは「改訂」で、復刻の度に改訂するのは何故か、という問いは出てきておかしくない。
 前者については、プロデューサーレターには「リリース直後に出したイベントでは、世界観が固まりきっていなかったことや、担当ライターさんにお伝えしきれてなかったこと、私や宍倉さんなどもチェックをする余裕がない中、お任せでリリースしていた部分がありました」とある。つまりP含めた社内の製作サイドが本来であればシナリオをチェックしているんだけれど(つまり外注)ソロモン誘拐事件前後はそれが出来なかった、ということ。

megido72-portal.com


 世界観が固まりきっていないというのは、これは書いていくうちに追加すべき要素は新規に出てくるので、製作陣やライターの手落ちでは絶対にないし、そもそもスタートアップ段階から(それも管理上の問題に悩まされたメギドにとっては)シナリオ管理にまで工数を割くというのは絶対的に困難である。絶対に無理。もう、これは断言するけれども、今の制作状況であってもこの頻度で質の高いテキストが連発されているのは「かなり作業負荷が高い状況」だろうと思う。
 なので、①あらためてPサイドでチェックして(新規要素も追加して)②これまでのシナリオと統合性を持たせた加筆修正をする、というのは自然。
 
 それとは別に、これはあくまで推測の範囲を出ないんだけれども、担当シナリオライターが変更されている可能性があると思う。

A.アンドレアルフスイベントまでの、わりと控えめで世界観や物語や関係性には深入りしない、「敵を倒す」のが主軸のイベント
B.サキュバスの「100年」の心情に焦点を置いたソロモン誘拐事件・悪夢編
C.スラップスティックなコメディとしての色彩が強いソロモン誘拐事件・逃走編~上書きされた忠義
D.シャミハザイベント以降

 ぐらいの断層が私にはあるような気がして、A/Bのライターはちょっと判断がつかないが、C/Dのライターは確実に違うんじゃないかと勝手に思っている。
 ちなみにCのライターは、(是非がどうとかいう話では断じてなくて)女性キャラに集中的にコメディリリーフの役目をさせる傾向にある気がする。
 あくまで「担当者が違う」と確信出来るのは2シナリオに限ったものだし、これは「気がする」という域を絶対に出ない。妄想の類である。
 
 これはあくまでPレターだから簡潔に書いた可能性が高いが、宮前Pからジズイベへの要望が「シリアスでずっしりくる重い話」「プロメテウスが歌うシーンが印象的であること」「最後はハートフルに終わる」なのは、仮にこれだけならシンプルなオーダーである。キャラの要件さえ満たせば、ライターの裁量はかなり大きい現場かもしれない(というか細部まで管理していたら、ただでさえ多忙な制作現場で外注する意味があまりない)。だから、たとえば「あらためて復刻するので、こんな新要素を付け加えて、ライターDさんが気になるところを書き換えたりしてみてくれませんか」というオーダーが来たときに、ほぼ全文書き換えになるのは不自然ではない。

 C/Dのライターがおそらく違うという妄想を前提したうえで書いておきたいのは、Cのシナリオには物語上の問題点は散見されてしまう。カスピエルが仲間になるプロセスとか、ユフィールが突然登場してくるとか、そういう物語的な滑らかさ、本来書くべき要素が抜け落ちているという点が目立つ。
 そこを加筆していこうとして、最終的に全文書き換えになるのは、私はこれは当然だと思う。
 これはCのライターに問題があるというよりは、制作納期が恐ろしく厳しかったのではないか。そういうヤケクソの勢いでなければクソロモンとか書けない気がする(あとどちらかといえばシリアスな物語よりコメディ寄りのほうが得意なのではないか)
 ちなみに今の段階においても納期は壮絶に厳しいのではないか。Dのクオリティが異様に高いので、なかなかそう思わなかったりするのだけれども。

 「復刻前のシナリオはもう読ませられない」というのは自然な事態だし(なにせ制作体制がおぞましいことになっていただろうから)むしろあれが公開されるのは、「製作陣としてはこのシナリオはOKの水準と判断しているらしい」と取られかねない。多少グレー、というか黒寄りなのかもしれないが、復刻前のシナリオ自体は読もうとすれば読む手段はあるので、運営側からわざわざ提示する必要があるかというと、たぶんない。
 ここまでは全て根拠のない推測である。
 「DeNAが無茶なオーダーをライターに強いている」と言いたいわけでは断じて無いし(嫌だったらDがあのクオリティのシナリオを毎回納品出来るのはあり得ない)ライターへの負荷が極めつけに高くなっているのはPサイドもレターに書いて認識している通り。まだまだ新規ユーザーが欲しい段階で、イベントの間隔を伸ばしていくのも抵抗があるはず(この「虚無期間」については後述する)。ただ、なんとかライターの負荷が減らないかなあ……というのは正直思わなくもない(訳が分からない感想だが)。

2.今更だけれど、その負荷を(精神的にも)跳ね上げるのは発表後の修正だろうから(これはやっぱり細部の論理的なミスだと思うので修正は自然だと思うが)ジズイベはかなり後悔している。あんな風に騒ぎ立てることは絶対になくて、プロデューサーレターに「騒がれ方が大きくなっており」とあるのは、本当に申し訳ないなと思っている。

 こんな個人の一ブログが制作に影響するとは絶対的に思えないんだけど、騒ぎに加担したのは間違いないし、書くとしてもサラっと書けば良かったはず。なので、今後Dから別のライターに担当が変更して――というのはあまりに負荷が大き過ぎるのであり得ると思っている――必然的にミスが生じるとしても、ああいう書き方はしたくない。
 「指摘」と「騒ぐ」はメッセージは同一でも様式が違う。何かを主張するときに、「メッセージはわかるけれども主張の仕方がまずい」というのは現実場面には数限りなく多くあるし(しかしこう言われた側は「でもメッセージは間違っていないじゃないか」と反射的に思いがちである)メッセージの是非はともかくとして、私のあの文章はどう考えても主張の様式(文体と言い換えてもいい)がまずい。イベントシナリオでは間違いなく最高傑作のジズイベに、こんな些細なミスでケチを付けられたくないから(正直こんな些末な部分にケチが付けられているのが本当に許せなかったし、ただし、加筆か削除のどちらかは必要な部分だというのは、私にはちょっと否定が出来なかった)早急に修正した方が良いんじゃないか、と書いたんだけれども、「騒ぎ」に加担した、という水準では同一である。

3.シャミハザイベントについては、私は上記のように考えているから、さほど大幅な加筆はないんじゃないかと予想している。もちろん他のシナリオとの兼ね合わせで修正加筆される箇所はあるだろうけれど、『ソロモン誘拐事件・逃走編』や『上書きされた忠義』のような、明らかな物語上の抜け落ちというのは記憶の限りではない。

4.「参加したシナリオを読み返す機能が欲しい」という点は運営側は間違いなく把握しているけれども、これについてはPレター等々で一切言及されていない(はず)。把握していても出来ない理由があると考えるのが自然なわけで、というのは今後また制作状況が大変なことになってシナリオ管理に目が行き届かなかったとき(たまたま今はライターDのような極めて優秀な書き手が参加していたりするけれども、更に書き手の交代が積み重なったときとか)読み返せるシナリオ=「最終版」として提示するしか選択肢がなくなっている、というのは壮絶にリスキー。普通のソシャゲであればこれは当たり前の機能に近いのだが、でもこれをしないのは、私は慎重な思考だと思う。

 ジズイベで「次回の復刻版で直すという考え」が宮前Pに出ているのは、つまり「復刻版」とは「修正のチャンス」だと捉えているということで、それが出来るのは「最終版」としてシナリオを読み返させない限りにおいてである。どれだけシナリオの精度を高めようが、ミスは必然的に生じ得る(あれだけ高い能力を持っているライターDですら「勢いで書き上げ、このタイミングでいざ見直していたら」おかしいな、と思うところが生じる)。
 まして今後も新たなシナリオテキストを追加していくのであれば、修正すべき矛盾点が発生する確率は絶対に低くない。低くしようがない(不可能である)。なので、「読み返し機能がない」とは、「今後シナリオでミスが生じても、それを正しく修正出来るよう仕様上最終版を提示出来ない」ということの裏返しでもある、と現時点で考える。
 これについては、むしろそれだけ制作陣がシナリオを大事なものとして意識してくれている証左である、と読みたい。
 
④リアイベと被り救済について

1.総じて、本当に参加出来て良かったなあ……というイベントでした。楽しかった。PvP大会と合わせて参加出来ました。
 まず会場入り口にすぐ宮前Pがいらっしゃって、「頑張ってください~」って言ったら頑張ります!ってニコニコしてくれたのでうわっファンサやん…って思った(オッサンにファンサなんかあるのかよと思われるかもしれないが、あるんだよ)。私は仕事上引越が多いので物販は見送ったんだけれど、物販の列は長蛇で、在庫は当然すぐに無くなる。これはもうリアルイベントでは確実に起きることだし、別形式での販売(たぶん通販かなあ)を最初から告知していたので私は特には気にならなかった。
 腐ったフォトン袋ことシンプルで可愛いトートがすぐ売り切れたのが意外で、物販面でも勝算はある程度あるかも(とはいえ開発は大変だろう)。

2.楽しかったのは事前告知無しのメギドカフェ。ガープの腹筋サンドイッチで笑ってしまったけど、ここは告知無しのサプライズで良かったなあと。デカスマホ体験やVRアジトはPvP大会で疲れ切っていたので参加出来なかった。というか時間が本当に短い! 最初に予定時刻見たときはこんなに長時間何するんだって正直思ったが、トークショーPvPをこなしていると時間が凄まじい勢いで過ぎて、会場右奥の設定絵なんか最後5分ぐらいで大急ぎで見た。とにかく盛沢山で、回り切れないぐらいであった。良かった。
 BGM生演奏は大興奮したし、声優さんのトークショーは2役持ちは自己紹介の時点で2役演じ分けてくれるサービス振りで凄く嬉しかった(なかなか声優さんの数を揃える自体が大変なのもあると思うんだけど、ここは1人2役の思わぬメリットだった)。特に津田さんのガープ&バラムは会場大絶叫…! 個人的にはアイム&シトリー役の関根さんの地声が本当にアイムなのと、マルバス&アスモデウス役の生田さんが好きなキャラを尋ねられて「普通こういうのって自分が演じるキャラクターは好きだけど一旦置いておいてってなるんですけど、私は本当にマルバスが好きなんです」って言い切ったのが最高だった。ハルマイベのヴィネとの関係性を物凄く嬉しそうに語っていたのが超良かった…。素晴らしい声優さんに恵まれたんだなあと感動していました。

3.PvP大会は2回戦でがんばります!さん(善さん)と勝負。強かった。互いにそこそこの回数フリバしてる友達なので手の内が分かっている状況だけど、普通に負けた。
 ちなみに私のブロックは700勝以上しているフォロワーが多くて、ある程度勝利数でブロック分けしていたのかもと思う(絶対その方が最終試合は盛り上がるので、だとしたら良い判断)。最終的なブロック優勝メンバーが女性1名男性2名というのは、男女両方楽しめるメギドらしい配分で、最終的に勝ち進んでくれて良かったなあという気持ちになりました(男に勝ってほしくなかったという意味では断じてない。あとは、私の1回戦の相手をしてくださった鴇田さんも700勝以上されてて、私も結構な回数負けてる女性の方です)。どうしても対戦ゲームって男性が多いイメージが勝手にあるだけに、猶更。
 参加者も老若男女幅広い印象があり、個人的にはこの層の厚さは、ターゲティングの難しさをも意味するだろうけど、かなり勝算を感じた。それだけ広い射程に訴えかけられるゲーム世界を作り上げてくれているんだなあと。
 善さんと対戦されていたイラストレーターの米倉さんのパーティはフリバで何度かお見かけしていて(スタンダードなパイモンラッシュだけど妨害目的にアンドレアルフスを入れるのが印象的)で「うわっこれ米倉さんか!」と驚きまくりだった(チーム宮前も女性1名男性2名で良い感じ)。いちばん興奮したのは二回戦のヒレツカツさんで、ベレトのアシュトレトでフリアエのバリアを外しつつ、パーサーク+列攻撃/全体攻撃で一気に決める。パーサークはPvP/PvEいずれも非常に楽しく活躍出来るタクティカルソートなので、これが会場で使われたのは感動した。いずれハイドロボムで勝つ人が出たら楽しい(フラウロスリジェネレイトはかなり強い性能をしている)。

 最初は閑散としていたフリーバトルコーナーが、PvP大会終了後はほぼ満席になり「今二席空きましたー」とスタッフさんが誘導していた光景は感動的だった。
 PvP自体かなり深い面白さのあるコンテンツなので、その後の反響を見ても非常に意義のある大会だったし、素晴らしい企画でした。ちなみに1回戦が終わったあとのスタッフさんが「まだ戦い足りないという方はフリーバトルコーナーもありますので是非ご利用ください」って参加者に呼び掛けてたの、修羅過ぎて笑ってしまった。

4.宮前P含めてスタッフとの距離感が恐ろしく近い…!! 「えっあれ(イラストディレクターの)中山さんじゃん…!? っていうか普通に米倉さんおるじゃん!?」って驚き通しで、普通に米倉さんが来場者に話しかけられていたので私も「ハロウィン衣装男女共に最高でした、ありがとうございます」と言ってしまった…(フリバのネームお尋ねしたら当然のごとくマッチングしてた)。私は記憶違いが多いので話半分に聞いてほしいけれど、「最初は私と中山さんの二枚しかなかったのに、イベントが増えるにつれて絵が増えてすごく嬉しい」と語ってらっしゃったのが印象的で、私もあれはフリバスペースの盛況振りと併せてグッと来た。
 あとで声優さんも普通にイベント回っていたと聞いていやなんだそれスゲーって震えた。

5.クロージングでの宮前Pからの発表内容事態は既にPレターに書かれているので割愛するとして、印象的だったのは被り救済。

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 まずは交換レートにもよるけどイベント&大幻獣チケットは魅力的で、メギドは基本的にオート周回でイベントをこなせるように設計しているとはいえ、サタニック刑務所を通ってしまうと周回チケットは普通に欲しい……。勿論大幻獣も高難度ステージも「どうすれば手持ちで効率的に周回出来るか」を考えるのが楽しいので、とはいえどうしても忙しくて無理な時はあるよね、ということで選択肢が増えるのは本当に嬉しい。もちろん交換レートにもよるけれど、ここは本当に期待したい。
 私が予想していたのはエンブリオor指名交換チケット(天井)だったんだけれど、思いの他とにかくエンブリオが欲しい中級者~それ以上に幅広く射程を予想した救済措置になってるんじゃないかと思う。個人的にはストーリーボスオーブを周回で取るのが結構面倒なので、あれが交換リストに並んでいたのは嬉しかった。

 直前にエンブリオガチャがあったのでもしかすると実質天井=メギド指名召喚チケが設定されるかも?と思ったけれど、今回はなし。
 当然運営内で天井チケットが必要では、という意見は出ていて、ただ経営的にはそこまでは難しいですね、というデータ基準での判断になったのではないかと思う。
 もちろん私個人としては天井チケットは欲しいんだけれども、まだ1年足らずの、それも完全オリジナルの新規タイトルでは簡単ではないだろうし、被り救済を実装前の被りからカウントするとなると三~五回は天井に達する人がけっこう居るんじゃないか(私は基本サバトしか回さないし正確には数えていないけど、30体ぐらいを天井にしてもそれぐらいはカウント出来てしまう気がする)。なので、天井チケットが欲しい→メギドにもっと売り上げが出て経営が安定してほしい→メギドに新規ユーザーが増えてほしい→メギドが物凄く面白くて、かなり考えて運営もされている、ということを繰り返し書きたいなあ……と改めて思っていました。そんな影響力は特にないが。
 
6.ベヒモスアスタロトリジェネレイトと登場キャラクターが異例の前倒しで発表。今回からの新規方式だけれど、メギドがあれだけ頻繁に更新しているにもかかわらず人によっては「虚無期間」と捉える期間が出現してしまうのは、(個々人の感性の問題とは思わない)第一にサブゲーとしてストレスなくプレイ出来る位置に滑り込めるようゲーム内容量を意図して調整している(たぶん)のもあるだろうが、第二には「期待」の持たせにくさにある。サプライズと期待のバランス取りの難しさ、とも言える。

 私はベヒモスが脳天に突き刺さったので十二月までずっとベヒモスのことを考えていると思うが、「こういうキャラをそのうち実装します」とビジュアルや大雑把な性能を予告するだけでも「どんなキャラなんだろう」と期待が出現して良いんじゃないか。繰り返すけれどそもそもメギドはFGOとかグラブルのような大量のコンテンツをゲーム内に持たせるのはおそらく意図して避けていて、完全新規タイトルがそうした既存ソシャゲのユーザーに食い込むならそれが正しい戦略だろうと思う。同量のコンテンツを用意するのはそもそも困難だが、仮にしたとしても、プレイし慣れてきたFGOグラブルのイベント周回を妨げるようでは、最終的に削除される結末が目に見えている。
 もちろん「どんなキャラなんだろう」「レイドイベントってどうなるんだろう」「今後のPvPは」という妄想だけでは、更新出来ない期間=開発期間の息を持たせることは不可能だけれども、キャラクターのビジュアルはいちばん視覚的に訴えるものがある。私がキャラゲー寄りのライトユーザーだからなのもあるかもしれないが。そういう意味で、キャラクターのデザインを最初に提示させて「期待」を持たせるのは、今後も検討していい選択肢かもしれないなあと。ただ、当然、簡単に出来ることではない。

 ちなみにメギドの更新頻度はかなり早いと感じている。少なくとも、あのクオリティでのイベントやテキストをこの頻度で連発するのは壮絶に早い。というか、開発期間があまりに短いのでもう少し間を持たせていいんじゃないかと思うのだが、新規ユーザーをどんどん呼び込んでいきたい、という時期なんだろう。うまくいってほしい。

7.あとベヒモスで普通に頭が壊れた。

⑤まとめ
 そんなわけで今月はおそろしく濃度の濃い更新が繰り返されていたと思う。イベント2つやって本編更新してリアイベもやるって尋常ではなく、ライター含めて開発スタッフの体力が大丈夫かという気持ちが最初に来る。宮前さんもクロージングで「寝てるんですか?」とタダツグさんに訊かれて「いやー」と苦笑されていたけれど、組織の最上位がそれだと下は推して知るべしである。そもそも休日がない可能性があるが、リアイベもあれトップからチーム含めて休日返上だよね……。とにかく素晴らしいゲームなのは変わらないので、引き続き楽しくプレイしていきたいが、製作陣はどうか無理だけはしないでほしい(最後の感想が毎回これになるのも意味がわからないが……)。