雑記

おもに調べ物のまとめです。

霊宝の話

 いまさら霊宝を触り出したけど、非常によく出来たゲームデザインだと思う。なので、短く書いておきたい。
 まず霊宝が開発された経緯は、はっきりとは書かれていないので結果的にそうなっただけに過ぎないかもしれないが、おそらくメギドの「長期プレイヤーのやることない問題」に起因すると思う。


長期プレイヤーに合わせた調整をすると新規プレイヤーの方は突破困難になってしまう…。
かと言って、新規プレイヤーを意識してイベントを調整してしまうと、長期のプレイヤーからすれば1日で終わってしまう…。
長期プレイヤーの方の「やることがない」という声も課題として捉えております。

(プロデューサーレター vol.15)

megido72-portal.com

 メギドは常に初級者~中級者を意識したデザインを志向し続けている。共襲ならまず初心者がPUされたメギドのフルオートだけでポイントが稼げるような仕組みのほうが個人的には良いと思うし(もう少し工夫の余地はありそうだが)イベント本編は1章をクリアした時点で配布メギドを仲間に出来るぐらいの難易度であってほしい。そして、だからこそメギドのイベントは報酬を高く設定し辛い。「上級者はこんなに素晴らしい特典を得られるけれど、始めたばかりの自分には無理だ」という思いは確実にモチベーションを下げる。だから、最近のメギドはイベント報酬をチケットやエンブリオ幼程度に留め続けているのだと思う。やり込み要素に近かったイベオーブについても、育成による性能強化の幅を狭めることで周回の必要性を下げている。
 周回を強いるデザインと、やり込みたい人だけがやり込めるゲームコンテンツというのは当然違う。メギドはここをしっかり切り分けている。
 
 中級者までを意識したデザインにおいては、当然それを越えた上級者にどういうプレイをしてもらうか、という点が課題になってくる。
 さらに、そもそもメギドはRPGなので、やり込みは必然的に素朴な周回にはなる。誰もが思い付きそうな話で、何度か任意のレベル下げシステムがあれば低レベルクリアのやり込みが出来て面白そうだとか、手持ちのメギドからランダムに何人かPUしてエネミーと戦うようなコンテンツはどうだろうか、とか妄想は書いていた。ただそれはプログラム的に難しい気もするし、いずれにせよまずは「やり込む」=周回の価値があるポイントを作ったほうがいい。かつ、それは中級者以下でも必須な報酬を設けることは極力避けなければならない。不死者の育成とか、終わってしまった人間にはどうとも思えなくても、これから始める人にはけっこう大変に違いないのだ(ベルフェゴールで久々にそれを思い出した)。
 
 メギドがひとつ重視していることに、性能の面白みがあると思う。
 たとえばアタッカーは普通頭打ちになる。インフレを避けるなら、必然的な帰結ですらある。アスモデウス以降に限らず、初期から強力なアタッカーを複数用意している以上は当然である。しかしエリゴスリジェネなら「プロメテウスと組み合わせれば覚醒スキルが連発出来るじゃないか」「これだけ強力なバフに、更にフォラスやダンタリオン、ジズを組み合わせればどうなるだろう」「アスモデウスと比べて中威力の攻撃を連発する分、たとえばフルカスのMEと組み合わせしたら場持ちが良いかもしれない」と、アスモデウスとは別のプレイングの幅が生まれる。実際のダメージソースとしては、アスモデウスと大して変わらない程度なのかもしれない。でもプレイングの幅が違う。別の面白みがあると言ってもいい。
 これは非常に重要なことだ。毎月三体もの新規キャラを実装し、既に百二十体以上の膨大なキャラが存在している中で、単なるインフレが生じていないのはこの「別の面白み」を重視しているからといっていい。バルバトスRとクロケルRはいずれも強力なアタッカーだが、バルバトスRが非常に強力なMEで初手からムルムルやアンドロマリウスの奥義を発動させやすいのに対して、クロケルRはフォトン破壊やHP吸収という場持ちの良さが魅力になる。単純に後続を「より派手なダメージを叩き出せる」という点だけで魅力付けしようとすると、待ち受けるのはインフレである。インフレの最大の問題は、初期環境のキャラクターの価値が目減りすることだ。全てのメギドにファンがいる、という状態は間違いなく理想的だ(ファンをコンテンツに留まらせるのはキャラクターへの愛情であり、そして複数のキャラクターに愛情を持たせられるデザインは強い。そしてすべてのメギドにファンが居れば、その一人一人が魅力を語り、それが時に愛着の伝播となる。魅力的なキャラが多いせいで、私はいまだにいちばん好きなメギドを挙げられない)。
 裏返せばそれは、ファンを幻滅させる施策は非常に取り辛い、ということだ。だからインフレはメギドでは絶対に避けるべき一手だし、多くの場面でこれまで避けられている。もちろんそう思わない人もいるだろうが、基本的に性能は複数の軸で組み立てることで差別化出来ている。

 霊宝は強化だ。ただしあくまで「面白み」の幅を越えてはいないと思う。最初の印象は地味ですらあった。他にもそういう人はいるんじゃないか。
 精々シルバーミラーをザガンに、ゴシックダガーをラッシュのアタッカーに、オンブラポンチョを覚醒ゲージが非常に重いメギドに装備させる、ぐらいしか思いつかなかった。系譜が実装されると、ラッシュの猛撃、具体的には金のアマルティア&トレラントリングには「アスタロトベヒモスより先行して強化済スキルを放てる…!」というワクワク感があった。ただ、確かに強力ではあるけれど、猛撃持ちのアスタロトベヒモスのコンビが、今後のメギドの攻略に必須かというと、そうは思わない(ガオケレナの捕獲には非常に役立っている)。条件さえ揃えれば強烈なダメージを与えられるアタッカーは他にいくらでもいるだろうから、あくまで楽しみ方の範疇を越えてこない。
 ここが安心出来る。確かに強化ではある。しかし、必要性より面白さ、プレイングの幅の拡張、というほうに傾いた強化である。
 たとえばRイポスは強力な自己バフ性能を持ち合わせている。これに素のステータスを向上させるゴシックダガーを四本装備させたらどうだろうとか、色々アイデアが思い付く。でもそれは攻略に必須なアイデアではない。「この霊宝を持たせればこんな風に活躍出来るのではないか」と計画と妄想を練り、実際に活躍させてみて上手くいったりいかなかったりするのが楽しいのである。よくよく考えればこれは、オーブのデザインと近似している(メギドのバトルシステムとして非常に優れたものにしている一因だと思う)。バーストのメギドなら誰でも蘇生と全体強化解除が出来る。カウンターなら誰でも列覚醒上げが出来る。「このオーブをこのメギドに持たせたら、こんな風に活躍させられるんじゃないか」という自由な幅が面白い。
 計画の自由、妄想の自由だ。
 
 霊宝作成はいずれもコストが重い。しかし、このコストもよく練られたものだと思う。
 たとえば猛撃に使う金のアマルティアを見てみる。素材の内訳のうち、特に重いのは次の三つだろう。
1.ステージ43のみで稀にフィールドドロップする奇岩洞の金水晶
2.ステージ37のボスがドロップする竜騎神の大検
3. ルゥルゥ系の素材・捕獲アイテム

 大幻獣の捕獲報酬を必要とするのは、大幻獣に対応するメギドの育成を終えてしまうと捕獲の意味が最早無くなっていたのに対して、上手い具合に再利用していると思う。個人的には大幻獣は倒すよりも捕獲するほうが難しい。単に倒すだけの大幻獣討伐に再び捕獲を持ち込んできたのは、悪くない選択肢だ。ちょっと面倒ではあるけれども、プレイングの幅を広げているとも言い換えられる。もっともアシュトレトに対するフラカンユグドラシルに対するガオケレナのように、これまでの大幻獣は捕獲が難しければ亜種できっちり調整を利かせている。様々な難易度、原種/亜種のステージを回るような仕組みにしたのは、個人的には楽しいほうだ。今現在捕獲が極めて困難な大幻獣はいないと思うのだが、人によってはチケットの活用幅が増えたとも言える。また、オーブ育成を終えてしまえば基本的に用済みだったのが、今後は「いちばん最初はこのメギドの組み合わせで試していたけれど、こういう組み合わせにすればもっと楽なんじゃないか」という見直し、新しいプレイングの機会にもなると思う。

 1と2は面白い組み合わせだ。稀にフィールドドロップするアイテムは、オート周回にチケットを費やすより、フィールドドロップを狙ってリタマラした方が効率はいい。一方で5章以降、それこそ竜騎神の大剣のようなボスドロップ金素材は、銀素材銅素材でも積み重ねれば金素材になるのだから、チケット周回に向いている。この組み合わせはベリアルからの不死者育成で既に見られていたものなのだが、「時間があるときはリタマラを狙い、時間がなければボスドロ素材をチケット周回する」というプレイを意識しているのだろう(…というのに気付いたのが霊宝作成からで、私はベリアルを育成するときは相当石を砕く羽目になった)。リタマラは案外単純でフラストレーションが溜まりにくいし、一度VHをクリアしてしまえば二度と触れないだろうなと思っていたボスと、久々に戦う機会にもなった。プロトアバドンとか、まず進んで倒しに行かないだろう。せっかく調整を重ねた敵エネミーなのだから、出来ればプレイヤーにも時々は戦闘してもらったほうが良いという考えなら、わりと納得しやすい感情だ。Nとはいえ、意外と再戦のためにパーティを組むのも悪くないし。
 
 「やることがない」というとき、そもそもメギドの「やること」とは何だろうか、という問題に当たる。
 メギドの戦闘が面白いのは言うまでもない。しかしもうひとつ面白いのはRPG的な「ちまちました育成」ではないか。私はオーブ育成のためのイベント周回がとても好きではあったが、これは中級未満の人に強いる難易度が高い。ピローヌやグラディエイターはフルオート周回だけで良くても、サタニックリブラやデュークはさすがにしんどかったし。素材を集める、合成する。小目標を達成する小気味良さがある。霊宝は小規模な育成の連続だ。だから、触ってみると意外に面白い。あまりそんな気がしなかったからこそ面白さが不思議なのだが、ゲームデザインの上手さを改めて認識する。

 「やることない問題」については、欲を言えばレベル下げシステムとか、たとえば任意のメギドから数人がランダムに選出されて、敵と戦うランダムダンジョン……とか、勝手なプレイヤーにありがちな妄想はいくらでも思い付く。でもこういうシステムはコストを考えると現実的ではない(だから妄想なのだ)。あくまで本編の面白さに近いものを再現しつつ、かつプレイングの幅を広げるという意味で、霊宝は非常に保守的であり、精巧なゲームデザインだと思う。ちなみに同時実装されたウィッシュリストも、使い勝手が良くて好きだ。レアアイテムがドロップしたら当然すぐに合成したいわけで、そこからメギドの強化画面に飛んで、霊宝の山から目当てのものを探す、という作業をちゃんと省略したのは有難い。
 もちろんキャラ性能の可変域を増やす、という意味で優れているのは言うまでもない。ウェパルの特注霊宝とか、すごく面白い性能だ。

 霊宝がエンドコンテンツとして設定されたことで、今後のイベントで上級者向けの報酬を用意する必要性がぐっと減ったことは書いておきたい。
 たとえばサタニックリブラやデュークは典型的な「やることない問題」に対するエンドコンテンツだったと思うが、労苦を重ねる以上、性能は当然相応に優秀なものでなければならず、故に地獄の周回を強いられる……という構造上の問題があった。一方で霊宝が新たな「やること」として用意されたなら、イベントは目当てのものだけを早々に交換して、あとはまた霊宝作りに戻ればいい。だから中級者まではイベント周回をどうすれば今の手持ちで効率化出来ればいいかを考えるのが課題になるし、それが終わっている上級者は霊宝作りをする。新しい導線だ。霊宝目的のリタマラも、サタニックリブラ周回に比べれば簡単だ(比較対象が微妙なのは重々承知で)。でもこれは本当にやってみると、案外さくさく終わるのである。
 朝起きるたびに余ったSTの使い道が思い付かなかったりするときもあった。常に小目標がある今では、なかなか考えられない事態だ。
 エンドコンテンツといえばこれまでは大幻獣オーブの育成と、イベントのエンブリオ幼集めが相当していたと思う。でも今後はそれに第三の選択肢として霊宝作成が加わる。決して数は多くはないだろうけれど、早々に大幻獣オーブ育成を終えられる上級者は居る。個人的には、同じ大幻獣をひたすら倒し続けるのは私はしんどい。霊宝は集めるアイテムの種類もそれなりに多岐に渡っている。そこがありがたい。大幻獣オーブの育成より効果が実感しやすいし、恩恵を受けるメギドも多い。だから、エンドコンテンツとして霊宝作成は非常によく出来たデザインだと思う。
 今月のイベントがそうだったけれど、イベント報酬の幅を広げたのも良かった。おそらくイベントオーブは、まだまだ足りてない特効、耐性はあるけれども、いつか性能が頭打ちになる要素なんじゃないかと思う。インフレを引き起こしやすい部分とも言い換えられる。毎回1-2種類のオーブを用意し続けるのも負担だっただろうし、オーブから新規霊宝に追加要素を切り替えていくのなら、とても良い選択だと思う(現実には時々イベントオーブを追加することにはなるだろうが)。
 これは妄想に近い楽しさではあるが、鏡とかケーキとか豆煮込みとか指輪とかハートブローチとか、大したことではないけどいろんな種類のアイテムを自分の意志でメギドに贈れるのが素朴に楽しい。今月実装された「冥界ノ栞」は、毎回イベントの報酬交換用アイテムが味があって魅力的だっただけに、形を残せるようでとても嬉しい。それも、限られた時間でのイベント周回必須の報酬ではなく、あくまでレシピ配布形式なのがいい。記念品のお土産みたいだ。この調子で、報酬アイテムの色変えを今後も霊宝化してもらえると嬉しい。あと、新規霊宝というのはなんだかんだ楽しみだ。オーブでもメギドでも、なにかしら新しい要素がゲームに追加されるとワクワクする。なので、また定期的に追加してもらえると嬉しい。冥界ノ栞は入手難度自体は低いので、中級者ぐらいのユーザーにも霊宝に触れてもらうキッカケにしよう、という意図があったかもしれない。
 もちろん被りの恩恵がちょっと増えた、というのは言うまでもない。匣の大きさは、いざ霊宝に触り始めるとけっこう気になる要素だ。もちろん単発のガチャとかで何度も被らせるようなデザインにすると課金の重たさが跳ね上がりユーザーが疲弊するだけなので、今ぐらいの上げ幅でいいとは思う。攻撃力+15%というようなバフ特性の価値も上がった。

 良いことばかり書いたので、気になることを最後にふたつだけ書いておく。
 霊宝を一度誰かに装備させて忘れてしまうと探すのが面倒くさいので、出来ればメギド全員の霊宝を一度に取り外すコマンドがあれば嬉しい。
 あと、これだけ魅力的な要素であるにもかかわらず、情報提示が今のところ煩雑過ぎて、取り組み辛かったのはある。ゴシックダガーやオンブラポンチョ、シルバーミラーのように作成が容易ですぐ使える霊宝も多くあるが、初めて触れる人は全ての霊宝の効果を逐一確認したりはしないと思う(ゲームを始めた当初、オーブの効果をいちいち確認するのが面倒で、三章の終わりになるまでメイジマーマンの効果を知らなかったのを思い出した)。ただ、これについてはとりあえず初期状態として大量の霊宝を用意しなければならなかったのもあると思うし、今後イベントごとにゆっくり霊宝を追加していけば、ちょっとは目が行きやすくなるのではないかと思う。
 イクリプス霊宝は私はまだ手が出せない。これは少なくない数の人がそうだろうし、運営も予想済みなのではないか。だからこそイクリプス霊宝の性能も全般に控えめになっているのだろうと思う(非イクリプス霊宝でそれなりに替えが利くものが多い)。エンブリオ程の価値の高さは必要ないだろうが、たとえば今後のイベント周回報酬にこれをオマケ程度で設置するのもいいかもしれない。
 
 これから霊宝に触る人には、ひとつひとつの能力値は地味だが、重ねると色々違ってくる、ぐらいで考えてみるといいと思う。まずは長所を伸ばすようなものが使いやすい。攻撃力バフと、フォトン確率追加系の霊宝は役立てやすい。四つ重ねると、MEに近い効果が出てきて面白い。
 言い古されてきたオススメだが、トレラントリング×3+金のアマルティア×1のアスタロトベヒモスの組み合わせとか、シルバーミラー×4のザガンとか、毒避けの盾×4とサタニックリブラ持ちのサブナックとか。後列パーティだとオンブラポンチョ×4とピローヌ持ちのプロメテウスの組み合わせが好きだ。パーティにアタッカーが複数人居る状態はそこまで多くはないだろうから、1~2セット作ってしまえば使い回せばいい。
 公式サイトの霊宝一覧はカタログみたいで楽しい。でも性能の比較確認には非公式攻略wikiのほうがいいだろう。まずはここを見てから、「あ、この霊宝はこのメギドに使えるじゃないか」と色々妄想してほしい。ちなみに冥界ノ栞の防御上昇値は作成の簡単さに比して破格だと思う。


 色々書いたけれど、とにかく霊宝のシステムが好きだ。デザインはひとつの答えで二つ以上の問いに答えるもの、というような定義文章をどこかで見かけた記憶があって、誰の言葉かは知らないが、たしかにその意味で霊宝は優れたデザインだと思う。